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海洋冒険小説の家

海洋冒険小説の家

(17)海賊衆敗走

    (17)

 助左衛門もそっちを見た。そこには、権大納言の家人が五人、鉄砲を立膝で構えているではないか。銃口から煙が出ている。その後ろには女房衆が五人、弓に矢をつがえ、ひきしぼっている。その脇には薙刀の老女、家人の槍衆らが控えている。と、同時に広間から矢が十数本放たれ、海賊衆の黒い塊のなかに突き刺さった。女房衆の矢も飛んでいった。
 六兵衛が助左衛門の脇をすりぬけて、庭に飛び出していった。
 「こらっ、よう聞けぃ! 南海丸の河内の六兵衛とはわいのことや。わいが相手や、さあっ、こい!」
 そして、公家の衆が七、八人、それに続いた。見れば、若い姉小路の少将や北嵯峨の中将ではないか。それぞれ、長い太刀をたくみに、舞うように扱っている。そして、一人、二人を斬った。助左衛門は叫んだ。
 「堺の衆は、固まってるんやでぇー。吉兵衛、そっちはたのむでえー」
 「まかしといてぇー!」
 首なしの吉兵衛が答えた。そして、助左衛門も、乱戦の中に突入していった。
 六兵衛がまさかりを、ぶんぶん振り回し、何人か血祭りにあげた。海賊衆どもは、近くに一歩も寄れなかった。
                 (続く)




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